『活力と信頼の国家』を創る

     〜「絆」の社会を目指して〜 (要旨)

 

 

 

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1.はじめに 〜次期政権の課題〜

(2つの構造変化)

○ 今、日本は、外にはBRICs諸国の台頭など世界的な競争環境の変化、内には人口減少社会の到来という2つの大きな構造変化に直面。

○ バブル崩壊の痛手から立ち直り新たな成長過程に入りつつある今こそ、こうした変化に柔軟に対応し「活力と信頼の国家・日本」を創造するチャンス。
 

(小泉改革の意義と次期政権の課題)

○ 小泉改革は「創造的破壊」。機能不全に陥った日本の政治や社会の仕組みを変革。

○  破壊のあとには創造が必要。次期政権の課題は構造改革の先にある経済社会の姿を国民に示し、創り上げていくこと。
 

 
2.「絆」の社会の再構築

○  効率性だけを追及する「弱肉強食」の社会ではなく、家族、地域、国民と国家の3つの「絆」で結ばれた社会を再構築。

○  阪神淡路大震災の際のボランティアの救援活動など国民が「公」を担う動きを国家は後押し。「『絆』の国民運動」を、国家のリーダーたるものが中心となり、様々な施策を一体的に展開・推進。
 

 
3.人、社会、国のかたちを創る 〜日本をより魅力的な国に〜

○ 日本の魅力を高めるために「人」「社会」「国のかたち」を戦略的に創り直す。

○  単に市場メカニズムの中での拝金主義的な経済成長ではなく、国民一人ひとりの能力が発揮され、地域社会の活力の中から生み出される柔軟で持続性ある成長を実現。
 

 
3−1.「人」をつくる

○  最も力を入れるべきことは、「人」をつくること。勤勉で文化水準も高く、チームワークで力を発揮する日本人の素晴らしい本質を最大限引き出す。
 

(教育の再生)

○  教育の再生は避けて通れない課題。基礎的能力を引き上げる(「読み書きソロバン世界一プロジェクト」)。あわせて、スポーツ、科学技術、文化、政治・経済などあらゆる面で世界の舞台で活躍する国民を育てる(「野口さん&イチロー育成プロジェクト」)。

○ 教育の質向上のため、家庭・地域の学校運営参画など、地域が主体となり教育を担うべき。
 

(社会の支え手を増やす)

○  女性や高齢者の意欲と能力を引き出すための環境整備が必要。女性については、育児休業がとりやすく、職場復帰しやすい環境を整備する。

○  高齢者については、「生涯現役」が可能な社会を目指す。定年制の廃止を見据え、「年齢に基づく処遇」を改革する とともに、税制などの各種制度を通じて高齢者の能力開発を支援する。また、実際に働き続けられるよう、生活習慣病対策等により健康寿命を延ばしていく。こうした施策を通じて、60歳から64歳までの高齢者の労働力率を、今後20年間で、男性で現在の70%から85%に、女性で40%から60%に引き上げる。

○  高齢者が地域社会で生き生きと活躍できるよう、教育、スポーツ指導、育児、介護等の場面で、高齢者によるボランティア活動をサポート。
 

(一生涯学べる社会をつくる)

○  社会の支え手を増やすため、大学やコミュニティースクールにおいて多様で柔軟な教育を受ける機会を提供。
 

(魅力ある「人」が魅力ある「国」をつくる)

○  個人の能力やキャリアが個人のものとして評価される、「褒める」社会の仕組み(「『世界に一つの花』キャンペーン」)、価値観を醸成し、人間が生き生きと活躍できる社会を実現。
 

 
3−2.「社会」をつくる

○  人々が生き生きと安心して暮らせるよう「活力にあふれた持続可能な経済社会・地域社会」、「安全・安心な社会と暮らし」をつくる。
 

(少子化への対応)

○ 次世代の国民を立派に育てることが素晴らしい営みであるとの価値観を社会全体で共有。

○  少子化対策の第一歩として、長時間労働を減らし、安定した雇用機会を提供することで、若者が結婚に踏み切れる労働環境を整備。

○  子供を産み育てやすい仕組みを整備。不妊治療を受けやすい環境の整備、出産・育児により女性がキャリアパスの大きな変更を強いられない職場構造の実現(「ママさんのいる職場キャンペーン」)、塾に通わなくても子供の能力を最大限伸ばす公的教育の充実を図る(「一歩前進カリキュラム」)。

○ 育児に対する不安を地域全体で和らげ、地域全体で子供を育てるための拠点を設置。

○ 税制の面でも、「子宝税制」などで支援。
 

(格差意識への対応)

○ 格差意識の固定化を阻止。個人が社会から正当に評価される環境を醸成。

○ 現在の雇用改善の動きをチャンスととらえ、フリーターやニート、就職氷河期に就職に恵まれなかった若年層に対する、きめ細かな対応。(「フリーター25万人常用化計画」「若者自立塾」「地域若者サポートステーション」)

○  正規・非正規労働者間の処遇の均衡を図る。労働市場、人材の流動化を進めるため制度的な手当て等を促進。
 

(地域の活性化)

○  地域活性化を担う人材を発掘・育成。地域社会の教育への参画、地元大学との連携を図るとともに、女性と高齢者の力を引き出す。

○ 地域の自然、歴史、伝統、文化、風土などの魅力を再発見し、戦略的に域外にアピール。(「まち自慢むら自慢運動」)

○ 地域の産業・企業を振興し、地域住民の雇用、所得を確保。真に必要なインフラを整備。

○ 地域コミュニティーを再生し、「地域の絆」を再構築。地域の産業基盤とコミュニティーとの連携を図る。

○ 地域活動の担い手となるNPO、財団等に対する寄附金税制の抜本改正。(絆の税制)

○ 地方自治体の厳しい財政状況については税収の偏在性是正による対応が現実的。このため、個人住民税の一定割合を人口等の客観的基準により自治体間で配分する等の仕組みとする。(ふるさと共同税)

○ 法人住民税、法人事業税の配分方法を見直すとともに、地方交付税の配分方法を見直し、小さくても努力する自治体が報われる仕組み、恣意性のない透明な仕組みとする。
 

(安全な地域社会の確立)

○  良好な治安が近年危機に直面。治安の悪化の原因の一つは「地域の絆」の弱体化。地域コミュニティーを再生し、警察と一体となった防犯活動を推進。(「みんなで守るゾーン作戦」)

 

(持続可能な社会保障制度の構築)

○  世界に冠たる国民皆年金、皆保険制度は国民の「安心」の支え。社会保障の分野では、米国のような「小さな政府」は目指さない。同時に、将来に負担を先送りするような社会保障制度であってはならない。高齢化の進展の中で、必要な給付の水準と財源の関係について現実を直視しながら、きちんと考慮。

○ 年金制度については、基礎年金国庫負担割合の引上げと少子化への歯止めが課題である。国庫負担割合の引上げについては、消費税を含む税制改革に正面から取り組むことにより、少子化については、総合的な少子化対策の推進により対応。

○ 医療については、医療保険制度を持続可能なものとするため、公的保険でカバーすべき範囲と自助で対応していただく範囲についての点検を不断に行う。また、医師の偏在是正のため、制度、予算、診療報酬等様々な側面から医療提供体制の整備に取り組む。

○ 介護については、今後とも、地域や家庭の機能との調和も念頭に置きつつ、真に必要な部分に資源の集中投入を図る。
 

(財政の立直しに逃げずにぶつかる)

○  先般の「骨太の方針」には、今後の財政再建の道筋が示されたが、2010年代半ばの債務残高GDP比の安定的引下げに向けた具体策が示されていないことは問題。2011年の先に更にどの程度の改革努力が必要なのか、逃げずに改革の具体像を語ることが政治の責任。

○ 増税の幅を小さくするためできる限りの努力をするのは当然だが、国債の元利払いを除く国の歳出の半分近くを占める社会保障関係費は削れば削るほどいいものではない。

○ 高齢化の進捗に伴い増加する社会保障関係費を、次世代に負担を先送りすることなく、安定的に支える財源の確保は、大きな課題であり、早急に手を打つべき。

○ 消費税は、国民全体で広く公平に負担する税金であり、これを社会保障のための財源と位置づけ、2010年代半ばまでのできるだけ早い時期に、少なくとも10%の税率とすべき。

○ 他方、社会経済情勢の変化等を踏まえ、消費税に限らず、所得税、法人税、相続税等を含め、活力と信頼の社会を支える税財政のグランドデザインを描くことが必要。

 

 
3−3.「国のかたち」をつくる

○  国家は、国民の真のニーズをくみ取り政策に反映させるよう努力し、国民も積極的に「公」の役割を果たすことにより、「国民と国家の絆」を構築。この基盤に立って国際社会が直面する諸課題に、世界との共生を考えて取り組んでいくことこそ、日本のイニシアティブを高める。
 

(憲法改正について)

○  「国のかたち」を規定する法規範である憲法の議論として忘れてはならないのは統治機構の在り方。小選挙区制の導入などを踏まえ、統治機構のあり方を見直す時期にきている。

○ 憲法と集団的自衛権との関係については、国際法秩序の維持・発展の観点から、日本の役割についての議論を深め、正面から憲法改正により解決。

○ 憲法改正に当っては、国民の参加意識が重要。国に対して「口出しせずに放っておいてくれ」ではなく、「みんなでやろう」という参加する意識がなければ憲法も活きてこない。
 

(公正・透明で安全な仕組みづくり)

○  国際的な犯罪や脅威に断固たる姿勢で取り組み、公正・透明なルールを構築し、監視する体制を築く。北朝鮮ミサイル問題、拉致問題、サイバーテロ、BSE、鳥インフルエンザ、不法滞在外国人問題等への対応、金融市場の整備・監視などの取組みを強化。
 

(国際法秩序の維持・発展)

○  世界第2位の経済規模を有する我が国として、主体的、戦略的に国際社会と関わり、人類が英知を傾けて発展させてきた国際法秩序の維持・発展に貢献。
 

(エネルギー政策の戦略的展開)

○  昨今の原油価格高騰の背景には、地政学的な不安定要因と世界的なエネルギー需要の増大があり、エネルギー政策は大きな曲がり角に来ている。

○  国際的なゼロサム型の対決を回避し、我が国のエネルギー安全保障の最適解を導き出すためには、世界レベルでの新たなエネルギー安全保障の仕掛けが必要。
 

(環境問題への取組)

○  環境問題は、地球規模のものへと変化しており、京都議定書の締結のようなグローバル化した対応が求められる。

○ 日本は環境技術で世界の最先端を走っており、国際的、地球的な貢献の余地が大きい。日本のシステムを世界に普及させることで、環境問題における世界のリーダーを目指すべき。
 

(科学技術のフロントランナーとして)

○  日本が魅力ある国であり続けるには、技術革新で最先端を走り続けるべき。このため、企業、大学、研究所が常に技術革新を追及するインセンティブを持てるような社会を作っていく。

○ しかし、科学技術は人類共通の財産を築く知的活動であるとの認識の下、世界をリードするとともに、人類が抱える様々な課題に応えるため、科学技術政策全体を見直していく必要。

○ 研究拠点作りや外国人研究者の受入れなど、世界と関わる中で、人類共有の財産づくり、世界のリーダー育成に貢献することこそ、日本の世界における存在感を高める。
 

(アジアにとっての日本の魅力)

○  アジアの人々にとって日本は物質的にも伝統や精神世界の点でも魅力的。日本人は自覚と誇りを持ってアジアに向かって発信するべき。

○ このため、アジアの次世代を担う若者に日本を曇りのない目で見てもらうことが有効。アジアの学生を短期間ホームステイさせる取組みの制度化(「見てよ・行こうよ・学ぼうよ・日本キャンペーン」)、学生の一定割合を奨学金付きで海外から募集するプログラムなどの取組み(「学ぼうよ日本奨学金」)により、2010年代初頭までにアジアを中心とした留学生を現在の12万人強から倍増させることを目指す。
 

(アジアとの「共生」)

○  今後の日本外交にとって、日米関係が基軸となるのは当然だが、その上で、アジアとの共生は極めて重要。ASEAN諸国をはじめ、アジア域内の共通利益を拡大する必要。近年存在感を増しているインドとの関係を深めることも重要。

○ アジアとのつながりを強め、「アジアのことは日本に聞けばよくわかる」と欧米から受け止められる関係を築いていくことが必要。国際機関において、アジア諸国の地位や発言権向上に努めることにより、日本のイニシアティブを高めるアプローチが重要。

○ 北朝鮮を巡る安全保障上の問題は言うに及ばず、近年、東アジアでは、地震、津波、新型感染症等の予知・予防、域内の自由貿易の推進、資源の安定的開発・確保、食糧・環境問題、通貨危機の再発予防など、首脳同士が腹を合わせて、時にはホットラインで話し合いつつ解決していくべき課題が目白押し。

○ 特に、中国、韓国とは、東アジア全体の発展という大きな視点から、必要があればすぐに直接意見を交わせるようアジアホットラインを構築する必要。

○ その障害が靖国参拝問題であることは否定できない。靖国神社の問題は日本が主体的に判断すべきであるが、その際、日本の外交も含め、様々な点を総合的に判断すべき。相手国の国内政治や国民感情を刺激しないよう配慮することは外交上必要。また、総理の立場にある限り、心の問題と行動の区別は海外では理解されにくいことを考慮。私は、総理になったときには、靖国参拝は控える。

○ 中国、韓国とは二国間の対話を進めるとともに、日中韓三国の話し合いも進めることが重要。日本と中国・韓国との関係改善に近道はない。様々な問題に双方が解決策を見出すためには、首脳が先頭に立って交流を促進し、それぞれの国民が様々なレベル、分野で理解していくことが基礎となる。

○ 中国、韓国とは、隣国として長い歴史があり、これからも色々な問題が常に発生するだろうが、未来に向けて解決していく姿勢こそが重要。
 

 
4.おわりに

○  構造改革の先にある「絆」の社会、「活力と信頼の国家・日本」を築き上げるという大きな課題を実現するためには、国民皆が国の将来を我がこととして捉え、「みんなでやろう」という気持ちで努力していかなくてはならない。国民の皆様と力をあわせ、全力を尽くしていきたい。
 

 
 
 
 

 

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